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峠の晩霞 佐藤勝太詩集

著者
佐藤勝太
サイズ
188ページ
製本
ソフトカバー
ISBN
978-4-86000-235-0 C0092
発行日
2012/07/01
本体価格
2,000円

個数  

追憶の中の少年の日
        まだ見ぬ未来へ向かって

                                。. .。.:*・゜゜


    「語れや 君 そも若き折 何をか為せし」という
    ヴェルレーヌの詩句が、頭に浮んで自らを恥じる事
    がある。
     佐藤さんも同じ思いだろう。
     それを心に託し、七十七篇の詩を拝読。詩に取り
    憑かれて何十年、最後の詩篇の珠のように抱いて心
    の奥にしまっているという締めくくりまで読ませる。
     自らのずるさ、愚かさまで秘めているのは人柄の
    良さで憎めない。
                 杉山平一(帯文より)

   =-=-=-=-=-=-=-=

    この帯文を書いて下さった直後に杉山先生はお亡くなりになりました。
    心からご冥福をお祈り申し上げます。


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 佐藤勝太詩集『峠の晩霞』を特徴づけるものは、既視感(デジャ・ヴュ)のごとき懐かしさであろう。佐藤勝太さんの詩篇に登場する人物像は、たしかどこかで出会った人、描かれる風景も、いつかどこかで目にした風景といった趣なのだ。
              (鈴木 漠「デジャ・ヴュの熱い光」より)

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   懐かしい人

  電車の中で
  向かいの席に子供連れの女性
  誰だったか判然としないが
  どこか見憶えの面影だった
  懐かしさで凝視していると
  にっこりと女性が微笑み会釈した
  ――ああ あの人だったか
  思わず頬がゆるんで立ち上がり
  しばらくです
  ぎこちない言葉が出た
  三十年近い歳月の間隙があった

  あのとき告白できず
  成就しなかった言葉を
  いまもはっきり想起した
  青春の日漂った恋ごころ
  その後長く後悔が尾を引いていた

  電車は容赦なく走り過ぎて
  どうぞご機嫌よろしゅう
  次の駅でにっこり降りていった
  あの頃の笑顔を残して
  その人はまた行ってしまった