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本日のヘクトパスカル村田 譲 詩集

著者
村田 譲
サイズ
A5判
112ページ
製本
ソフトカバー
ISBN
978-4-86000-440-8 C0092
発行日
2020/11/06
本体価格
1,500円

個数  

 

 

 

 

 

まあ、そういうことですから

 

…今日は曇りでいいや

  

 

(「本日のヘクトパスカル・2」)

 

 

 

 

 


          夏目漱石の「思い出す事など」という随筆に、四つに組んだ
          力士は落ちついて見えているが、実は渾身の力を込めている、
          人生も同じだというくだりがある。
          気圧によって、見合っただけでいきなり張り手を食らう。
          突っ張って突然見えなくなれば、それは肩透かしだ。
          頭を低くするとはたきこみ、おっとっと。
          しかし、この土俵はどうも勝負がつかないようにできているらしい。
          決まり手があるとしたら、それはパスカルの「かばい手」だ。

 

                                    (帯文より)

 

 

 

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     さて、買い物途中のこと 

     西の空がずいぶんと真っ黒 

     思わず気圧配置…との単語が飛び出した 

     それで慌てたオレだが 

     そんなことは気にもせず 

     んーと、低気圧は高気圧からの空気を吸い込んで 

     吹き上げられた水蒸気が上空で冷たく水滴になって 

     でも上空の気流と中間とでは向きが違ったりぃ 

     などと講義が始まる 

     ついつい風向きのことかい、と話の腰を折るオレである 

     風というのは熱の問題で 

     高気圧から低気圧へと流れは決まっていてぇ 

     とかなんとか 

     そうかそうかと調子を合わせながらも 

     台風の中心はどっちだろう 

     まわる高気圧と低気圧 

     その関係は周囲との相対的な結果だよな 

     温度差の問題なら 

     夏だって、寒いよぉとのリピート機能 

     ほぼ全開の妻が低気圧だろうか 

     諍いだってオレが謝っていればいいわけで 

     あれ、オレは風下か? 

     そういえば女性は怒りをため込んで 

     数年分をいっきに放出するとか

 

 

                (「天気予想」より)

  

 

 

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著者について

 

村田 譲(むらた じょう)

 

1959年 北海道室蘭市生

詩 集 1994年『月の扉 大地の泉』(林檎屋)
    1999年『空への軌跡』(林檎屋)
    2002年『海からの背骨』(林檎屋)
    2010年『渇く夏』(林檎屋)
    2013年『円環、あるいは12日の約束のために』(緑鯨社)

所 属 北海道詩人協会/日本詩人クラブ/日本現代詩人会

同 人 小樽詩話会