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【絶版】デフォルト 木村彌一詩集

著者
木村彌一
サイズ
A5判横
96ページ
製本
ハードカバー
ISBN
978-4-86000-191-9 C0092
発行日
2010/06/10
本体価格
2,000円

個数  



      【 完売しました 】



A5サイズを横に開く装丁は、右頁に題、左頁に詩。
著者によるカラー挿画も章ごとに4枚、
添えられたグラシン紙の下には、表紙と対照的な鮮やかな色。
読者を少し驚かせるしかけのなか、
著者の紡ぐ言葉の意味するものは・・・
default(初期設定)? 
default(債務不履行)?
それとも?

――――――――――

      人情


        安達が原に雨が降る
        天使が白い羽を休める
        ここで行われた殺戮の跡を
        澄んだ眼で眺めている
        静かな深い水底の月の歩みのように音がしない
        しっとりとした山の草の間に
        それとも一層上の世界の
        透明な風のかすかな動きの間に
        その身を吹上げ
        くるくるまわる花車を抱え
        行ってしまうのは薄情だ
        無限の蝋燭に火を灯し
        炎々の平原のように
        数々の事情を燃やせ
        火と雫の乱舞を
        白い羽に描いて
        この大地一面の上を
        激しく羽ばたいてから
        天空にたち帰ってほしい
        行ってゴッドに認めさせるのだ
        彼はいまだに知ってはいない
        ほんとうの
        惨劇はなんであったのかを
        あるいは見逃したのかもしれない

        安達が原の雨がやがて止む
        羽は乾いたか
        天使よ さあ帰っておくれ